住宅版エコポイント 新築の場合 [ ・住宅版エコポイント]
今年、もっとも住宅業界を賑わしている『住宅版エコポイント』について、
理解致しましたので、少し遅くなりましたが、触れておきます。
新築の場合、要件(※)を満たせば、30万円分エコポイントがもらえます。
リフォームの場合は細かい要件が決められており、
どこをどのようにリフォームしたかによりポイントが発行されます。
【※木造は省エネ等級4(次世代省エネ基準)、またはトップランナー基準の住宅】
トップランナー基準とは、
建売の年間売上棟数が150戸以上の会社に報告義務がある基準で、
省エネ等級4(次世代省エネ)+高効率給湯設備 (エコキュートやエコジョーズなど)を
クリアしなければならならいという基準です。(次世代省エネ基準+10%省エネクリア)
また、長期優良住宅は省エネ等級4が条件のため、当然エコポイントの要件を満たしています。
よって、新築木造住宅のエコポイント必要十分条件は『省エネ等級4』の住宅になります。
トップランナー基準を採用する場合については『省エネ等級3』でも可能です。(5/23訂正)
今回は新築の場合についてのみ記したいと思いますが、
現時点において、プレハブ系ハウスメーカー以外のビルダーや設計事務所が
最も頭を悩ませていることは、
どの仕様(使用する断熱材の種類)が省エネ等級4を満たしたうえで最も安価で済むのか?
どういうことかというと、
今まで省エネ等級4(次世代省エネ基準)や長期優良住宅を標準仕様としていた建築会社は
全く問題がなく、(そのため大手のハウスメーカーなどは問題ないわけです)
そうでない会社は今までの標準仕様からは必ずコストが上がりますので、
どの断熱材を選べば良いのか、頭を悩ませているのです。
そういう質問も建築会社さんなどから頂いています。
(お宅どうしてます?みたいな探り探りの質問です)
長期優良住宅の場合、設計やコストおいてデメリットがありますので、
クライアントの選択が重視されていましたが、(参考記事:長期優良住宅について)
『エコポイント』については『省エネ等級4』にすれば、
今年は30万円分得をすることができるので、コストさえ満足していれば、
大きなデメリットは見当たらないため、どの建築会社も採用の方向で検討しています。
ここで、少し専門的な話になりますが、
『省エネ等級4』を満たす住宅とするには2通りの考え方、手法あります。
ひとつは個々の住宅にて、形状や窓の大きさを基に、Q値(熱損失係数)や
μ値(夏季日射取得係数)等の複雑な計算をして使用する断熱材など決定する方法。
これは『性能規定』と呼ばれているものです。
もうひとつは、『仕様規定』と呼ばれているもの。
地域ごとに断熱材のU値(熱貫流率)によって、厚さが決められています。
(グラスウール16kgだと壁は100mm以上など)
複雑な計算は一切必要ない手法です。窓の大きさや住宅の形状は関係ありません。
(窓はペアガラス等であるという規定はあります)
内容はフラット35の仕様書に細かく記載されています。
ほとんどの建築会社はこの『仕様規定』で申請しているというのが現状のようです。
事実、当事務所も『仕様規定』で検討していました。
コストの管理がしやすく、個々の物件によって複雑な計算が必要ないので、
スピードを求められる場合、当然と言えば当然です。
そして、ここからがクライアント側や設計者側にとって、最も大事な部分になるんですが、
色々検討してみた結果、個々の物件で『仕様規定』の断熱材と『性能規定』の断熱材を比べると、
『性能規定』で計算する方がコストが下がりそうです。(←まだ検討段階です)
窓などの開口部が大きい住宅の場合は、違う可能性も含んでいますが、
いずれにせよ、個々で検討することが大事になります。
(個々で検討するのは設計事務所の得意技です)
大きな窓がたくさんある家と、そうでない家が同じ断熱材を使っていれば、
どちらの家が断熱性能が高い家かは、少し考えればわかることですね。
うちはどっちだろう?と思っている方はぜひ一度、建築会社に問い合わせてみて下さい。
というわけで、当事務所でも現在、具体案について『性能規定』で検討中です。
結果は個々でご報告するとして、どれくらいコストダウンできるのか、
個人的な楽しみにしたいと思います。
『長期優良住宅』といい、『エコポイント』といい、余計なことをしてくれるな~というのが本音で、
そんな数値で計るより、落葉樹を庭に植えた方が良いのに・・・、
と思ってはいるのですが、自分のスキルアップにもなるので、常にアンテナを高くして、
クライアントに少しでも良い情報をお届けできればと思ってます。
加門建築設計室
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先日、私も講習会をうけてきましたが
悩むわりには、見返りがすくなく
新築では普及しないだろうな、と
正直感じました。私はリフォームに
特化して営業するつもりです。
by macoto (2010-02-23 10:58)
良い記事ですね!
実は僕もエコポイント制度の記事を書こうを思っていたのですが、
先を越されてしまいました(笑)
うちでは『エコ住宅の新築』全般に対する質問が多く、玉石混交と言った
感じです。
plusさんレベルほど技術基準を正確に把握している建築技術者は
かなり少ないと言うのが今の印象です。
そういう意味では次世代省エネ基準やトップランナー基準について知る
良い機会になりそうですね!
by 浜松自宅カフェ (2010-02-23 22:50)
●macotoさん
エコポイントがあるから新築するっていう方は少ないでしょうね。
『たまたま期間中だった』という人が多いと思います。
リフォームは確かにこの期間中にと思う人はいるかも・・・
●浜自カフェさん
実は1ヶ月くらい下書きしては書きなおしを繰り返してました。
何を書こうかな~と。
次世代省エネ基準とかトップランナー基準とか実態がわかりにくい
のが一番困ったところであり、今回の記事はクライアント向けでも
あるんですが、どちらかというと設計者や施工者側に向けて書いた
つもりです。名古屋にこんな設計屋がいるというアピールです(笑)
by plusgate (2010-02-24 23:46)
久しぶりにコメントします。
省エネ法を仕事にしていますので、ついつい記事に目がいきました。
plusgateさんの書かれているとおり、性能規定の方がコストは安くなると
思われます。仕様規定の部位や断熱材という個々の仕様を考えるよりも
一住宅、一住戸単位で検討ができる性能規定の方が、広い範囲で仕様を
考えられるだけ、融通が利くと思います。
この手のことで、何かありましたら、いつでもmixiでメッセージをください!
意見交換など大歓迎します。
by いちよ (2010-02-26 21:29)
●いちよさん
お久しぶりです。
この分野、お得意でしたよね。
最近、mixiに訪問できてないので恐縮です。
いちよさんにそう言って頂くとさらに自信が深まります。
ありがとうございます。
実物件で例を取り上げてみますので、
ぜひご意見頂きたく思います。
by plusgate (2010-03-01 16:36)